トップ «前の日記(2006年12月14日(Thursday)) 最新 次の日記(2006年12月22日(Friday))» 編集

たいへん日記

私へ●たいはかせの日記、と言うよりは雑記です.
日々の出来事を書いていくのではなく、普段から思っていることをとりとめもなく書いていくつもりです.
とかなんとか言いながらも日々の行動の記録が大半を占めているあたりがニントモカントモ...

2006|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2007|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2008|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2009|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2010|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2011|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2012|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2013|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2014|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2015|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2016|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2017|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2018|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2019|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2020|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2021|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2022|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2023|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2024|01|02|03|12|

2006年12月19日(Tuesday) 日常に老荘を感じる日々

_ [日常][音楽][図書館] IKEAのマグカップと老子

metroさんの書かれたIKEA開店後8ヶ月 / 引き算で価値を高めるを読んで思ったこと.

「IKEA」とは首都圏にある家具屋さんのようです.
この家具屋さんで売られている商品になかなか素晴らしい工夫があるようで、IKEA開店後8ヶ月 / 引き算で価値を高めるにてmetroさんが写真付きで詳しく紹介しておられます.

足元に切り欠きを入れることで巾木をよけてピッタリと壁に密着する本棚。
一番安いマグカップにもそういった工夫があります。切り欠きを入れることで、食器洗い機でも水が溜まらない。食器洗い機を使った時のカップの底に溜まる水って、ほんと、気になるんですよね。

写真を見るとなるほどなかなかうまく出来ています.
画像を転載するわけにはいかないのでmetroさんのページでご確認ください.

_ この記事を読んで思い出したのは、『老子』上篇の第十一章.

三十輻共一轂。當其無、有車之用。
挺埴以爲器。當其無、有器之用。
鑿戸■以爲室。當其無、有室之用。
故有之以爲利。無之以爲用。

漢文ではサパーリ意味が分からんので現代文訳を図書館で探してきました.

三十本のやが一つのこしきに集まっている.そのこしきの中心の何もない穴で車のはたらきが生じる.
粘土をこねてうつわを作る.そのうつわの中の何もないところでうつわのはたらきが生じる.
戸や窓をくり抜いて部屋を作る.その部屋の何もない空間で部屋のはたらきが生じる.
だから、形有るものが役に立つのは形無きものが[根底で]はたらいているからだ

はかせはこれを高校生の時に古文だったか倫理だったかの時間で教わりました.
それまで中国の古典思想に触れたことがほとんどなかったはかせはこの老荘思想にほんとに驚いたものです.
ものって、ものの中でも何も無いところが実は役に立ってるんだぞ、と.
茶わんの役に立っている部分って陶器の部分ではなくて陶器で仕切られた何もない所なんですね.
で、IKEAの茶わんや本棚.
本棚の背の欠けている部分や茶わんの底の欠けている部分に意味があるなんて、まるで老荘思想を形にした商品みたいですね.

_ 老子のことばを勉強していくうちに、この他にも
「大道廃れて仁義有り、智慧出でて大偽有り、六親和せずして孝慈有り、国家昏乱して忠臣有り.」(第18章)
「大上は下之有るを知るのみ.その次は親しみて之を誉む...」(第17章)
「...上徳は無為にして、以て為す無し...」(第38章)
などなどはかせの心を揺さぶるようなものに沢山行きあたりました.
老子・荘子に触れるようになってからははかせの音楽についての考え方も変わったかも知れません.
「音を鳴らす音楽ではなく音を鳴らさない音楽こそが最高の音楽だ」なんて事を今でも真剣に思っています.
私たちがいろんな楽器でぴーひゃらどんどんと奏でている音楽よりも、森の奧で何も音を立てずに自然に耳に入ってくる音こそが最高の音楽だと思っています.

_ 以前にhttp://kerop.info/tattler/diary200511.html#20051106aでも書きましたが、仮面ライダー響鬼の中でヒビキさんが

そんな時は森の中に入って耳をすますんだ.
樹のざわめき、川のせせらぎ、自然には全てのものに響きがある.
その響きを身体に刻むんだ.

って言ってくれてます.
あぁ、はかせが言いたいことをうまく言ってくれたよー.
仮面ライダー響鬼はとっても音を大切にした番組でした.
そんな番組の中で主人公が語ってくれたこのセリフはとっても嬉しかったのでした.

_ はかせは読んでも意味が通じませんが、ついでに読み下し文もあげておきます.

三十輻(ふく)一轂(いっこく)を共にす。その無なるに当りて、車の用有り。
埴(しょく)を挺(こ)ねて以(もっ)て器(うつわ)を為(つく)る。その無なるに当りて、器の用有り。
戸■(こゆう)を鑿(うが)ちて以て室を為(つく)る。その無なるに当りて、室の用有り。
故に有の以て利を為(な)すは、無の以て用を為(な)せばなり。

(v_v)ウーン.読み下してもサパーリ分からんぞ.
老子 ; 列士 / 麦谷邦夫訳 ; [本編] -- 学習研究社, 1983.3. -- (中国の古典 ; 2)
老子 ; 列士 / 麦谷邦夫訳 ; 別冊 -- 学習研究社, 1983.3. -- (中国の古典 ; 2)

※ 文中■で表した文字はunicodeの7256です.