toshiさんのお日記を読んで、いろいろと同意.
大学に勤めていても、「すぐに役に立つ」を求める風潮に嫌気がさしています.
景気とか雇用とか投資とかの事は誰かが語ってくれるんとちゃうかな、と投げ打って、大学のおはなし.
財界が大学に、文部科学省の方面から手を回して「すぐに役に立つ」卒業生を求めてきています.
勤め人になって「すぐに役立つ」学生を育てていくような大学にせよ、と求めてきているのよ.
大学卒業生には、卒業後入社して「すぐに役立つ」勤め人になるように求めているのです.
で、文部科学省もそれにおもねるようになってきています.
文部科学省が大学を社会人養成予備校と位置づけるようになってきているのです.
「学士力」で検索するといろいろ出てきます.
学士課程(大学の学部教育)のなかで身に付けるべき能力を「学士力」と呼ぶようにしようとの事.
「学士力」の中味には大学の専門課程で身につけるような事は軽視され、それよりも、勤め人が身につける能力が強調されています.
いわく、「汎用的技能(コミュニケーションスキル,数量的スキル,問題解決能力等)」「態度・志向性(自己管理力,チームワーク,倫理観,社会的責任等)」.
もちろん、このような能力は持っていないよりも、持っている方が強いでしょう.
でも、大学の本義って社会人養成予備校ではない筈.
第一義には、真理の探究の場である筈.
しかし、文部科学省がこのような方針になってきていると、大学も (特に国立大学は) その方針に従わないといけないのです.
あちこちの大学にて、知恵の宝庫である図書館が縮小され、「ラーニングコモンズ」なるコミュニケーション能力を養成する施設に改装されています.
ラーニングコモンズでは「アクティブ・ラーニング」なるコミュニケーション能力を重視した学修が行われています.
真理の探究を進めるのではなく、勤め人になって「コミュ障」で会社に迷惑をかけない能力を養成しているようにしか思えないのよ.
大学がこんな風になってきたのは、財界の力が強いのはもちろんですが、大学の数と、大学卒業生の数が多すぎるの原因だと思います.
企業が求めるホワイトカラー社員よりも大学卒業生が多いのよ.
大学卒業生が多いということは、日本の大学全体での定員数が多いのです.
それで、かつてのような高い学力がなくても大学に入学出来るようになっています.
大学の定員を増やしたい、との希望は、大学側から文部科学省に申請され、文部科学省が認可します.
申請の内容は文部科学省が審査するのですが、大概は認可されている模様.
単純に定員増はダメでも学部・学科の新設は大概が認可されている模様.
田中真紀子氏が文部科学大臣のときに、この状況に疑問を投げかけたのですが、政策の転換には至っていません.
大学関係者はイヤになるくらい見せられたこのグラフ.
OECD加盟国の中では日本の高等教育進学率は低い方なんだってさ.
だから、大学進学率をあげるよ、というお国の方針なんだってさ.
(OECD での高等教育進学率の算出方法が示されずに、このグラフだけ提示するのはひどいです.)
(OECD の高等教育進学率の算出方法はこちらに書かれています.http://blog.goo.ne.jp/baileng/e/c5f5a6a404cce01d424ee3804db1c7fe)
(オーストラリアの大学進学率は15~20%だとする研究もあります.http://www.zam.go.jp/n00/pdf/ni007008.pdf)
いやいや、もう大学生を増やして卒業生の価値を落とさないで欲しいです.
本来大学に入るべきでない子供がどんどん大学に進学しているのよ.
で、いわゆるF欄大学が増えていくの.
ランキングが上の方の大学も、定員をどんどん増やしており、少数精鋭での教育・研究からは遠ざかっています.
大学もね、学生数が多いとスケールメリット的な効果で収入が多くなるので、定員数を多くしたいのです.
はかせはこれで良いとは思いません.
大学卒業生、大学の定員数を減らして欲しい.
18歳人口が減っている中で未だに大学新設、学部新設はおかしいです.
底辺大学をつぶせ、という方もいますが、それが良いとは思いません.
ランキングが上の方の大学も肥大していくばかりに思えます.
そのような大学のみが巨大大学のままで残っていくのは良しとは思えないのです.
で、日本中の大学で一律に定員10%削減とかやってほしいのよ.
余り期待はしてないけど「何の役にも立たないヘッポコ大卒」が大杉。 <br>荷物持たせるぐらいしか使えんよ。