「オキナグサ」が絶滅が危惧されているほどは珍しい植物とは知りませんでした.
広く日本全体で絶滅を危惧されるような種もあるでしょうが、自分の好きなフィールドでの種の滅びを見たことがあります.
時は1990年代中頃、RV車ブームの頃.
京都府南部を流れる木津川の河原は、草花が好き勝手に乱れ咲く野草愛好家の天国でした.
そこに目を付けたのがランクルやパジェロなどのオフロード車乗り達.
彼らは誰もいない河原を縦横無尽に走り回りました.
あれれー、と思っている間に河原はムチャクチャになりましたよ.
一夏で野の花は無くなり、ブタクサしか生えない砂だけの河原になってしまいましたとさ.
「RV車で自然を楽しむ」と言うつもりなんでしょうが、とんでもない方向性の違いなのです.
(もちろん河原は車輌進入禁止、河原に至る土手道も車輌進入禁止でした)
アウトドアブームを輸入する際に、お道具を使って遊ぶ事だけを目的としていたために (もっと言うとお道具を買わせる事が目的だった) こんな事が起こったのだと、はかせは思っています.
男子はなにかやる時、お道具から入るの好きですからね(^Q^;).
米国もアウトドア遊びで同じような事態があったのか、米国のシエラクラブには Low impact method なる考え方があります.
アウトドア遊びを輸入するときにこの考え方は輸入されなかったのか、日本ではあまり言及されていません.
ググってみたところ、環境庁の環境白書でいくらか言及されているようです.さすが環境省.
シエラクラブのLowImpact Methodに見られるように、環境への負荷の少ない過ごし方を心がけ、自然体験の深化を求めることで、変化のある多様なキャンプの経験を得ることができよう。http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/honbun.php3?kid=208&serial=10002&bflg=1
・ シエラクラブ:Low Impact Method(一部抜粋)
・ 正火(煙の出る焚火)は燃やさない(ストーブを持参せよ)
・ 草地に寝ない。裸地なら十人寝ても痛まないが草地は一人寝ただけで激甚な悪影響がある
・ 炊飯は水源から(17m以上)離れてせよ
・ 水際にキャンプをしない。野生動物が水を飲みに来られなくなるではないか
・ 「キジをうつ」(野糞をする)ときは、一番分解し易い深さの穴に、雪山などではビニール袋に入れて持ち帰れ
・ 重い登山ぐつで歩くな。装備もなるべく軽くして地面への悪影響をさけよ
・ 大きな物音、派手な服装、夜間の照明いずれも御法度
日本には1980年代には既にこの思想が輸入されているのですが、アメリカ流のバックパッキングの連中の間でしか流行りませんでした.
はかせの兄が正にアメリカ流のバックパッキングの連中だったので、はかせにも Low Impact Method は相当しみ込んでいました.
ところが、前述のように、お道具を売ることがブームの主導力だったため、ブームに踊らされた四駆なクルマで遊ぶ方には、この思想はとことん無かったんだと思われます.
彼らは自然を楽しむのではなく、お道具を楽しんでいたのよ.
そんなこんなではかせが毎週末草花をめでていた河原はズタボロになっています.
_ ローインパクトについてはhttp://shizuoka.cool.ne.jp/atsuta/sankoki/jomon2.htmに分かりやすく書かれています.
ご覧あれ.
_ ローインパクトについて記されている基本的な図書
これからのバックパッキング―シエラ・クラブからローインパクト法の提案 (森林選書)
山と溪谷社
¥ 1,365
遊歩大全―ハイキング、バックパッキングの歓びとテクニック
森林書房
¥ 3,465
Low Impact Methodという言葉は知りませんでした( 内容はなんとなく承知していましたが(笑)。)。<br> 今は団塊世代の退職をきっかけとして再び登山ブームがおきてますし,さらにデジカメの普及でカメラブームにもなってますから,4WDやRV顔負けのHigh Impactがおきつつありますね。<br> 先日も,水芭蕉の群生地に長靴を履いて入り込み,自分の被写体とはならない根や芽をぞんざいに踏みつけ,でかくて重たい三脚を湿原内に据え付けて我が物顔で得意げに写真を撮っている中年〜壮年を見かけました。もう最低ですね。<br> 早池峰山では登山客の急増で頂上にある便所からの屎尿で地下水が汚染され,携帯トイレの推進に躍起です。<br> いつになっても戦後の日本は自然を大切にしないですね。
大陸では自然は征服するもの。西部開拓しかり、欧州の延々と続く丘陵地帯しかり、中原と呼ばれる地域しかり、、。ただ我が国日本では古来自然とは共生するものでありました。花を愛で、月を愛で、自然の美を愛し、酒と女と故郷を愛する。 それが、明治以降、舶来品、舶来文明に毒されて今このような危機的な状態になって居るのでしょう。 今こそ日本の心を取り戻さねば。。<br>Low Impact Methodはアメリカのように極度に再生能力の低い自然には適している方法です。日本の自然環境に100%合うかどうかは疑問なのです。全体としてみれば国土の60%が森林で占められる我が国の自然はもう少しだけ常識をもって扱えば再生が可能かもしれません。