広隆寺を訪れた折に国宝の弥勒菩薩半跏思惟像を拝観してきました.
(7/29の日記に書いてあります.)
広隆寺の弥勒菩薩を見たら中宮寺の如意輪観音も見たくなってしまうのですよ.
この2体は製作時代も近く形も似ておりいろいろと比較される仏像なのです.
片方を見たらもう片方も見たくなるの.
そんなこんなで7月から行きたいよー行きたいよー、と言ってるうちに2か月も過ぎてしまいましたが、なんとか行ってきた次第なのよ.
_ 如意輪観音だけを知っていて、中宮寺の事をよく知らない人がこのお寺を訪れると
「なんとちっちゃいお寺なの」
と思うことでしょう.
誰もが拝観できる建物である本堂も昭和の建築で鉄筋コンクリート建てです.
お寺の建物に期待して行ってはダメだよ.
お隣の法隆寺や、同派の聖徳宗に属する近所の斑鳩の法起寺・法輪寺に較べると歴史ある建造物もないかなり寂しいお寺なのです.
_ 歴史をひもとくと、中宮寺はもともとは今のような規模のお寺ではなかったのですよ.
考古学的調査からいろいろな事が分かってきています.
聖徳太子が法隆寺を建立したことは有名です.
法隆寺創建のころ聖徳太子の斑鳩宮は今の法隆寺東院(夢殿)の地にありました.
この斑鳩宮の西に旧法隆寺(若草伽藍)、東側に中宮寺があったのです.
若草伽藍も旧中宮寺も四天王寺式の伽藍配置でした.
元々は聖徳太子の宮を中心として西側に僧寺の法隆寺(若草伽藍)、東側に尼寺の旧中宮寺が並び立っていた事が想像されます.
この旧中宮寺は戦国時代の火災で失われ、その後は法隆寺東院内でほそぼそとちまちまとしたお寺になってしまったようです.
_ さてさて、中宮寺と言えば如意輪観音菩薩半跏思惟像です.
もちろん見てきましたよ.
これが目当てだったので.
広隆寺のんとは違い、はげしく漆塗りが施されており木目などは覗えません.
ポーズは両者とも同じなのですが、
身体の線の細さや顔の長さ(馬面具合)がなんとなく違うため
広隆寺の菩薩像よりも中宮寺の菩薩像の方が高貴な印象があるような.
しかしながらおだやかな雰囲気ややさしい雰囲気は両者とも変わりありません.
いいものを拝んできました.
ついでと言ってはなんですが、信貴山に行ってきました.
このお寺、「朝護孫子寺」なんて名前があるのですが、この辺の人には信貴山(しぎさん)としか呼ばれていません.
そのためお寺なのか神社なのかよく分からぬままに参拝されている宗教施設なのよ.
ここははかせが小さい頃から何度もお詣りしている馴染みのお寺です.
実ははかせも小さい頃はここがお寺なのか神社なのか分かってなかった...
父母に聞いても「うーん、どっちやろ」って言ってましたよ(^Q^;).
_ そんな信貴山、法隆寺のように歴史や重みのあるお寺と言うよりは現世利益を求める人が集まる賑やかなお寺、と言った雰囲気です.
静かさとかは全然ないの.
大阪ぽい雰囲気と言えばぴったりなのです.(古都奈良県にあるんだけど...)
奈良県側のバス停や駐車場から寺域にはいるとまず食堂兼おみやげ屋ものさんがあります.
(はかせのちっちゃい頃からずっと営業してはります)
これが賑わってるのよ.
お寺の外に門前町なんかもあったりします.
名物の草餅を売ってる店、うどん屋さん、その他いろいろ、遠くからお詣りに来た人のためのお宿も何軒も並んでいます.
このお宿、単なるお詣りの人のお宿ではなく、山の麓(つまりは大阪)の人がお泊まり付き宴会で使ったりもしてるの.
お寺の内側もお堂がいくつも建ち並び、それぞれここの仏さんは××に御利益があるなどと大きく書かれています.
そんなお堂におみやげ屋さんで買ったであろうポリ袋をぶらさげたおばはんがお詣りしています.
病気に効く、とされたお堂には熱心に頭を下げる人もいます.
_ 本堂はすんごい崖の上に立っています.
なんと目を引く派手な建築.
(はかせはこの建物に見慣れていたため後に京都の清水寺の舞台を見た時に「たいしたことない」って思ってしまいましたよ.)
ここでは真言宗ぽくドーンドーンと大きく太鼓がならされて大音声でお経が詠まれお勤めが行われています.
お勤めさえ賑やかです.
本堂の地下には戒壇巡りが設えてあります.
まっくらな廊下を歩きながら隠されている如意宝珠に触れると御利益があると言うものなのですが、
実はこれアトラクションのように楽しめる所なのです.
まっくらな中でアベックがきゃーきゃー言って楽しんでるの.
_ お寺のあちこちにはマスコットのようにトラが置かれています.
お寺の中のお守り販売所にもトラの形のお守りが目立ちます.
お寺の外でもトラの置物のおみやげが目立ちます.
_ この信貴山に来て思うには、
かつては社寺仏閣って今のテーマパークのような役割を果たしていたのではないか、
と言うこと.
いろんなお堂にお詣りして健康を祈って、料理旅館で泊まっていいもの食べて、おみやげ物やさんを冷やかして、トラと戯れて、うどん屋さんに行って昼ご飯を食べて、お団子食べて、山の上でいい景色見て、すんごい立派なお寺の建物に驚いて、戒壇巡りでアトラクション気分を味わって、などなど楽しめること多々です.
信貴山には今でもその機能が強く生きています.