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たいへん日記

私へ●たいはかせの日記、と言うよりは雑記です.
日々の出来事を書いていくのではなく、普段から思っていることをとりとめもなく書いていくつもりです.
とかなんとか言いながらも日々の行動の記録が大半を占めているあたりがニントモカントモ...

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2007年04月02日(Monday) 読書していろいろ考える日々

_ [図書館] 主義主張の押し付け、のつづき

はかせは主義主張の押し付けというものをあまり好まないのです.
また、押し付けられたものをありがたがる人たちもあまり好まないのです.
先日書いたhttp://kerop.info/tattler/20070328.html#p03にはその思いを込めたつもりなのですが、作文が下手なもので、果たしてそのように捉えて頂けたかどうか不安...

_ さてさて、今日読んだ本はこれ.
蝦夷 (えみし) : 古代東北人の歴史 / 高橋崇著. -- 中央公論社, 1986.5. -- (中公新書 ; 804).

タイトルが示す通り日本古代の蝦夷 (えみし) について書かれた本です.
先に書いたようなはかせの好みに合致した事が書かれていたのでちょっと喜んでたりして(^Q^;).

_ この本では、古代の中央政権が蝦夷を侵略するにあたっての中央政権側の思想を客観的に分析しています.

先掲の記事を要約すれば、蝦夷は道徳くをわきまえない連中で、農耕を知らず狩猟民的存在である.だから「往古より以来、未だ王化に染」わないため、蝦夷に対し、征討・懲罰が行われて当然であるという大義名分が成り立つことになる.
王化、つまり天皇の徳を日本中に及ぼそうと意図する、天皇や中央貴族がもって政治理念の発露とみるからである.儒教的道徳などが規範であり、生業は農耕が一般化している国家側にとっては、文化の違いがただちに未開野蛮を意味することになる.
儒教的道徳・農桑という文化レベルを善しとする側とすれば、それを押しつけることこそ王化の普及になると考えているのだから始末が悪い.

遠い過去に、日本にあった中華思想とでも言うべきものでしょうか、そんな体制が非難されています.
はかせはそんな押し付けの中央政権側の発想をあまり好きではないのです.

もうひとつイヤなのは押しつけられる側での態度.
この本が取り扱ってる中だと、押しつけられた天皇政権側の思想 (儒教的道徳・農桑など) を蝦夷が「これこそ文化の最先端だぜー、ナウいぜー、俺たちも儒教するぜー、米作るぜー、蚕飼うぜー」と歓迎して無批判に取り上げ持ち上げ受け入れる事.
この本にはそんな蝦夷がいたことは書かれていません.
しかしそんな蝦夷がいたかも知れません.

果たして農耕は狩猟採集よりも劣っている文化なのか?
狩猟採集は農耕よりも未開野蛮な文化なのか?
優越は押しつける側の価値観によって決まってくるものです.

押しつける思想/押しつけられる思想、という関係を現代にあてはめてみるとどうでしょうか.
戦勝国から押しつけられた文化を受容しなければやっていけない敗戦国.
敗戦国の中で押しつけられた文化を無批判にありがたがる者達.
考えるとなんか虚しくなる日々なのです.

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]
_ ToshiOKada (2007年04月04日(Wednesday) 00:18)

そこいらへんに流れるものは,鵜呑みと迎合,ではないかなと(笑<br> でも,真もまた逆なり,逆もまた真なり,などという客観的な捉え方ってなかなか難しいですよね。西洋科学で説明出来ないモノは全て非科学的である,なんてのも実は然りだし(笑

_ へ●たいはかせ (2007年04月08日(Sunday) 11:22)

ToshiOkadaさま.<br>ツッコミありがとうございます.私たちが日常の中・生活の中で何気なしに行っている事のいくつかは、先祖の大きな葛藤の末に定着したものだと思っています.単なる迎合に溺れないようにしていても生きていくためにやむなく押しつけを受け入れないといけなくなった文化も沢山あるでしょうね.